10月の定例会は、大根田理事のコーディネートで、株式会社L&Partner 代表取締役 / 公認会計士 石川 良亮様より、「 ~“見えない資産”を未来へ継承する~事業承継のためのDX 」というテーマでご講演いただきました。
石川様は、PwCあらた監査法人(現PwC Japan有限責任監査法人)に入所後、上場企業や外資系企業に対する財務諸表監査、内部統制監査、不正調査業務及び財務諸表監査のデジタルトランスフォーメーション(DX)に従事されました。その後、PwCビジネスアシュアランス合同会社へ転籍し、ファイナンス・トランスフォーメーション推進チームにて財務経理領域の効率化、自動化及び高度化支援に従事されました。2024年に株式会社L&Partnerを設立し、代表取締役に就任され、バックオフィス業務のDX及びBPO業務を中心に事業展開されています。
ご講演では、後継者への創業者のノウハウ継承において、DX推進が果たすべき重要な役割とその取り組み方についてご説明いただきました。
中小企業庁の調査において、ICT活用について中小企業の経営課題としてはあまり認識されていない一方で、東京商工会議所の調査においては、後継者の教育や探索、確保が課題として挙げられています。
石川様は、DX/BPRを推進する理由として、「DXを推進することで、業務の効率化、業務効率化や働き方改革等の企業イメージ向上による後継者採用に役立つのみならず、業務プロセスの見える化等により、ノウハウの伝達を容易にできる」と述べられました。それについて、DX/BPRによるノウハウ伝達の具体例を3社ほど挙げていただきました。
ITツールの導入ありきで始まる業務改善のほとんどは失敗に終わるので、業務の標準化、適切なデータモデル設計をした上で自社にあったツールを選定することが重要なポイントはとのことです。
また、DX/BPRを進める検討事項としては、将来像の明確化を行ったうえで、将来像を実現するための業務プロセス改革を行う。さらに、改革後の運用を支える社内の役割分担、制度やルールの見直しも併せて実施することが必要と述べられました。
DX/BPRの進め方としては、以下の手順を一つ一つ丁寧に取り組むことが成功の近道とのことです。
①現状の課題感とDX/BPRの目的の明確化
②関係者間の合意
③プロジェクト体制の整備
④現状業務の見える化と課題整理
⑤将来的な方向性検討
⑥業務プロセス設計とシステム選定
⑦システム導入
⑧プロセスの運用開始
DX/BPRを進めるにあたって、特に失敗の多い4プロセスは①②④⑥だとのことでした。
最後に、中小企業診断士と公認会計士の協業が欠かせないということを述べられて
セミナーを締めくくられました。
定例会後の懇親会には石川様も参加されて大いに盛り上がりました。